市内唯一の,江戸時代にさかのぼり得るどんと祭。裸参りが特色。
おおさきはちまんぐうのまつたきまつり(どんとさい)
大崎八幡宮の松焚祭(どんと祭)
Osakihachimangu no Matsutakimatsuri ( Dontosai )
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解説
Description
青葉区八幡に所在する大崎八幡宮では,毎年1月14日日没から翌日日未明にかけての小正月に,正月の松飾りや注連縄,神札などを焚く祭事が行われている。この祭礼は現在では一般にどんと祭の呼び名で知られているが,祭を主催する大崎八幡宮では,正式には松焚祭(まつたきまつり)と呼称している。
この祭の起源について,社伝では300年の歴史を持つといわれている。史料的に確認できる初出は嘉永2年(1849) の『仙台年中行事大意』で,少なくとも近世末期には行われていたことが分かる。また,この祭礼の特色のひとつとなっている裸参りについても,嘉永3年(1850) 頃の成立とみられる『仙台年中行事絵巻』に杜氏による裸参りの様子が描かれており,すでにこの頃には行われていたことが知られる。 どんと祭の呼称が使われ始めるのは明治40年(1907)頃とみられ,以後大正時代になって広く定着していく様相が当時の新聞記事等により確認される。
現在市内の神社等で広く行われているどんと祭は,仙台市消防局の平成16年(2004)の調査によれば157カ所で開催されたが,江戸時代以来の継続性を持つものは大崎八幡宮の他に確認することができず,「大崎八幡宮の松焚祭(どんと祭)」は広く市民に親しまれているどんと祭の祖形となった祭礼である。