2004年度 2学年 選択理科のまとめ

6.研究の方法と成果

研究B アリの歩く速さと温度の関係

(1) 準備物

筆記用具,記録用紙,温度計,定規,ストップウォッチ

(2) 方法

  1. 種のわかっているアリの巣の近くで実験を行う。
    (できるだけ,アリがまっすぐ歩く場所を探す)
  2. 10cmの間隔の線を引く。
  3. アリが線から線まで歩くのにかかる時間をストップウォッチで計測する。
  4. たくさんのアリについて,記録をとる。

(3) 結果とまとめ

<ある班の結果(カワラケアリ)> ※各データとも20〜30匹の平均をとったもの
日にち天気日差し気温(℃)地面の温度(℃)かかった時間の平均(秒)
9月6日なし25.528.82.88
9月6日なし25.528.82.02
9月9日晴れあり28.827.52.48
9月9日なし24.827.05.34
9月21日なし25.527.02.82
10月18日晴れあり17.315.07.41
10月25日晴れあり18.715.06.80

<グラフ − 気温と歩く速さの関係> (生徒作品)
気温と歩く速さの関係

<グラフ − 地面の温度と歩く速さの関係> (生徒作品)
地面の温度と歩く速さの関係

上のふたつのグラフを見ると,温度とアリの歩く速さに大きな関係があることがわかります。つまり,気温や地面の温度が高くなりにつれアリの歩く速さも速くなるのです。このことはアリの体温と大きく関連があると考えられます。アリは無セキツイ動物のなかまで変温動物です。外部の温度変化にともなって体温が変化します。体温が低下すると動物は活発に活動できなくなります。気温や地面の温度が低いと,アリは体温が低くなり,歩く速さも遅くなるものと考えられます。

<グラフ − アリの速さの度数分布> (生徒作品)
アリの速さの度数分布

このグラフは,9月9日,10月18日,10月25日の比較的遅いアリを青,その他の速いアリを赤で示した度数分布です。このグラフを見ると,速いアリは平均に数が多く集まっているのがわかります。それに対し遅いアリは,3日間のそれぞれの平均が,5.34秒,6.80秒,7.41秒で,平均のあたりの数も多くなっていますが,平均を大きく下回るアリの数が多いことがわかります。このことから,温度が低くなるとアリの歩く速さは遅くなるのですが,平均的に遅くなるアリと極端に遅くなるアリがいるといえそうです。

(4) 今後の課題

もっとたくさんのデータをとり検証する必要があります。今回,最もたくさんのデータをとった班は,約170匹分の測定を行いました。しかし,温度とアリの歩く速さの関係をはっきりつかむためには,さまざまな条件の中でさらにデータを集める必要があります。
もうひとつは,温度が低いときのアリの速さについて研究を深めることです。歩くのが極端に遅くなるアリについて,その原因が何なのか,また,何℃くらいから極端に遅くなるアリが出てくるのかということが未確認です。

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