風格のある表現の,鎌倉時代の毘沙門天像
もくぞうびしゃもんてんりゅうぞう
木造毘沙門天立像
Mokuzo Bishamonten Ryuzo
▼ In English
解説
Description
毘沙門天とは,もともと毘沙門天とは,もともと四天王のうち夜叉(やしゃ)を率いて北方を守護する多聞天が独立して信仰された場合の呼び名で,甲冑を身につけ武装した像に表される。また富貴栄達をつかさどるとされる。本像も甲冑姿で岩座に立ち,宝塔・戟(げき)を持っている。風格のある表現で,特に腹帯の獅噛(しがみ)などをていねいに彫り出している。同じく宮城県指定文化財の不動明王像と一対として作られ,かつては陸奥国分寺薬師堂内陣の厨子(ずし)の左右に安置されていた。また同様に宮城県指定文化財で,内陣にあった十二神将立像ともども時代・作風を同じくする一まとまりの像群で,地方作ながらすぐれた作柄のものとされる。中世の陸奥国分寺の状況は明確ではないが,こうした一連の造像活動の背景に盛大な寺勢の存在も想像される。 カヤ材 一木造 像高113.0cm (陸奥国分寺所蔵)