新旧彫刻技法の混交がみられる,鎌倉時代の毘沙門天像
もくぞうびしゃもんてんりゅうぞう
木造毘沙門天立像
Mokuzo Bishamonten Ryuzo
▼ In English
解説
Description
木造毘沙門天立像は,寄木造,彫眼(ちょうがん)で,右手に戟(げき),左手に宝塔を捧げ,邪鬼の上に立つ通例の毘沙門天立像である。大梅寺(たいばいじ)の開山である雲居禅師(うんごぜんじ)は,伊予三谷の村のはずれの毘沙門堂で産み落とされたことから毘沙門天を自らの持仏(じぶつ)としたという。そして,晩年,蕃山(ばんざん)を訪れたとき山麓の毘沙門堂にあった本像に因縁を感じ,この地を終焉の地にしたという。さらに,その生涯を閉じるにあたって本像の前で坐禅を組みそのまま静かに入滅したといわれている。頭部を一木で丸彫りする技法,寄木の技法などに,古様の彫り口と新様の彫法の混交がみられるが,総体的にみて鎌倉時代の作とされる。ヒノキ材 寄木造 像高97.1cm (大梅寺所蔵)