個性的な風貌を示す,室町時代の上人像。市内最古の肖像彫刻。
もくぞうあんこくしょうにんざぞう
木造安国上人坐像
Mokuzo Ankokushonin Zazo
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解説
Description
木造安国上人坐像は,寄木造,玉眼(ぎょくがん)の像である。安国上人は,一遍を開祖とする時宗の五代遊行上人(ゆぎょうしょうにん)で,一遍と同じく全国行脚(あんぎゃ)して布教に努めた。真福寺は,その安国上人が嘉暦元年(1326)に登米(宮城県登米郡)に創建し,葛西氏滅亡後に伊達氏によって仙台に移された寺院であると,近世の地誌「封内風土記」は伝える。像は,中央の作をうかがわせる本格的な肖像彫刻で,その彫技も闊達(かったつ)であり手堅い重厚な作風を示している。また真容(しんよう)を伝えるという点でも優れ,骨格表現や微妙な肉付けなど個性的な風貌をつくりあげている。制作時期は上人入滅の建武4年(1337)を大きく降るものではないことをうかがわせる。肖像彫刻としては市内最古のものである。 ヒノキ材 寄木造 像高80.7cm (真福寺所蔵)