保存状態の良好な,14世紀中期以前の釈迦如来像
ほうかんしゃかにょらいざぞう
宝冠釈迦如来坐像
Hokanshakanyorai Zazo
▼ In English
解説
Description
宝冠釈迦如来坐像は,寄木造,玉眼(ぎょくがん)の像である。高髻(こうけい)を結い,通肩(つうけん)の衲衣(のうえ)を着す。このような宝冠釈迦の形式は,14世紀以降盛行するものであり,さらに14世紀中葉頃には表情が人間味を帯びてくる。本像は撫肩(なでがた)で衲衣表現には自然な衣文(えもん)の表出が認められる。また面相部の目鼻立ちも整い,眉と目の間隔が狭く上方に位置を占めたつくりは,人間味ある表情へ転化する以前の特徴をとどめた時期の造形であり,制作時期は14世紀中葉以前とされる。金銅透彫(こんどうすかしぼり)宝冠を失い,胸の瓔珞(ようらく)の一部に欠損がみられるが,光背(こうはい)・台座も伴い,保存状況の良好な状態である。 ヒノキ材 寄木造 像高41.4cm (壽徳寺所蔵)