幕末仙台藩士によるアメリカ・アフリカなど世界の見聞録類
たまむしさだゆう「こうべいにちろく」およびかんけいしりょう
玉蟲左太夫「航米日録」及び関係資料
Tamamushi Sadayu "Kobeinichiroku" oyobi Kankeishiryo
▼ In English
解説
Description
この資料は,幕末の仙台藩士・玉蟲左太夫誼茂(たまむしさだゆうやすしげ)の著作及び関連資料である。玉蟲左太夫は,安政4年(1857)に,当時仕えていた函館奉行・堀織部正(ほりおりべのかみ)に随って蝦夷地(北海道)・樺太(からふと)を巡察し,地勢・気候・産業などを視察して「入北記」に記した。万延元年(1860)には幕府の遣米使節に同行し,「航米日録」を著した。戊辰戦争(1868~69)では,仙台藩の使者として会津に赴き,また,奥羽越列藩同盟の結成に尽力,軍務局副統取として活躍したが,仙台藩降伏後,責任を問われ明治2年(1869)47歳で切腹した。資料中の「航米日録」は,日米修好通商条約批准書交換のため派遣された幕府の遣米使節に同行し,米国・アフリカ・アジアの各地を訪れた際の見聞録で,日記や旅行中の感想・所見が収められている。他の同行者の日記・記録と比べて,記述の正確さ,着眼点,洞察力が優れているとされ,幕末の一人の侍の見た見聞録として,第一級の歴史資料である。(仙台市博物館所蔵)