全国的にも数の少ない,完存する十三塚
かみまえじゅうさんづか
上前十三塚
Kamimae Jusanzuka
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解説
Description
民間信仰の対象として,かつて広く全国各地に分布していた十三塚は,開発等に伴いその大部分が姿を消した。上前十三塚は,その完全な形態をとどめる全国でも数少ないものの一つで,十三仏とも呼ばれている。上前十三塚は,旧道沿いの高台に直径2m,高さ45cm程のほぼ同一規模の円形の塚が13基,一直線上に一定間隔を置いて整然と並んでおり,中央の塚はやや大きい。築塚の経緯は不明であるが,13の仏を祀って塚を作ったとか,戦国時代に戦死者を葬ったなどの言い伝えが地元にあり,流行病のはやった時などには,ここで拝む風習があったとも伝えられている。一般に十三塚の成立は中世と推定され,塚の持つ意義については諸説があるが,いずれにしても民間信仰の様相を知る上で貴重なものであり,完全な形態で保存されている上前十三塚の持つ意義は大きい。なお,完存するもののうち,金屋の十三塚(兵庫県)と生駒十三峠の十三塚(奈良県,大阪府)は,重要有形文化財として国指定を受けている。