現存する仙台市内最古の木造建築
むつこくぶんじしょうろうどう
陸奥国分寺鐘楼堂
Mutsu Kokubunji Shoro-do
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解説
Description
陸奥国分寺鐘楼堂は,奈良時代に創建された陸奥国分寺の境内に立つ。入母屋造(いりもやづくり)銅板葺で,桁行(けたゆき)三間,梁間(はりま)二間の規模である。下層は袴状に板を張った袴腰付きであり,上層に高欄付の縁を持つ。
室町時代後期に建築され,江戸時代初期の伊達政宗による大規模な修理を受けて引き継がれた建物である。現在の姿は,18世紀後半の状況に整備されているが,中世の加工痕を持つ主要材がよく残っており,改修の多い屋根周りについても,江戸時代初期の部材が残るなど,保存状態が良く,近世の修理経過を推測することができる。
また,同建物は組物のみが禅宗様(ぜんしゅうよう)であり,平(ひら)の尾垂木(おだるき)を2本持つ形式で全国的にも類例が少ない。使用している木材も,社寺建築では使われにくい,サワグルミやヤナギ属が含まれる等興味深い。
仙台市内において中世にさかのぼる建造物は類例がなく,市内現存最古の建造物として貴重であるとともに,陸奥国分寺の中世からの歴史を今に伝える重要な木造建造物と評価され,重要である。