仙台地方における在来石工技術を示す用具類一式
きゅういしきりまちのいしくようぐ(くろだけしりょう)
旧石切町の石工用具(黒田家資料)
Kyu Ishikirimachi no Ishiku Yogu ( Kurodake Shiryo )
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解説
Description
黒田家の出自は古く,近世前期より同地区に居住し石材加工を行っていたことが史・資料等により確認される。黒田家では,その後も時代と並行して業態を変化させながら今日まで石材加工業を営んできたが,このようなイエと生業の継承の在り様は,仙台市内では希少な事例である。
本石工用具は採石用具26点,加工用具279点,運搬用具2点,鍛冶用具39点,その他16点から構成される。
資料には明治時代後半期のものがわずかに含まれているが,昭和10~30年代のものが主体をなしている。なお,石材加工技術は,昭和30年代から始まる高度経済成長期とともに急速な機械化が進行して,その様相が大きく変化しているが,これらの用具はこの機械化以前に用いられたものである。
また,明治時代から昭和30年代における仙台地方の石工技術の特徴は,硬石系(安山岩など)と軟石系(秋保石などの凝灰岩)の加工技術が併存している点にあるが,本資料群は,当時の石材加工で使用された用具が網羅的に揃っているもので,現在ではほとんど失われている仙台地方における在来石工技術を示している。(一部、個人蔵)