伊達政宗から拝領した,五枚胴具足の優品。
くろうるしごまいどうぐそく(だてまさむねしょよう・かんのしょうざえもんしげなりはいりょう)
黒漆五枚胴具足(伊達政宗所用・菅野正左衛門重成拝領)
Kuro urushi Gomaido Gusoku ( Date Masamune Shoyo ・ Kanno Shozaemon Shigenari Hairyo)
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解説
Description
鉄板に黒漆塗を施した五枚胴具足で,兜は筋兜,胴は雪ノ下胴(いわゆる仙台胴)の形式である。
重要文化財の黒漆五枚胴具足(伊達政宗所用,仙台市博物館保管)や瑞鳳殿出土の黒漆玉枚胴具足(再埋納)とほぼ同型である。本品は,伊達政宗(1567-1636)の火縄銃の薬込役として側近く仕え,寛永13年(1636)政宗の死去にともない殉死した菅野正左衛門重成(1596-1636,家格は平士)が,政宗から拝領したという伝承がある。『伊達世臣家譜』(寛政4年・1792成立)菅野家の項には,重成が政宗から具足を賜ったとの記載がある。
本品は,五枚胴具足の優品であり,他の伊達政宗所用具足ともほぼ同型であることや,政宗からの拝領品であることが記録からも認められること,拝領した家臣の家に長く伝えられてきたという点でも貴重である。平成元年度佩楯等裂地修理済。
兜刻銘 「明珎信家」「天文四年乙未八月吉口」(天文4年・1535)
胴高37.7cm,鉢高13.0cm
三十二間筋兜(シコロ5段,吹返梅花透)1頭,黒漆五枚胴(草摺9間6段下り紺糸素懸威)1領,頬当1面,寵手(こて)1l双,佩楯1枚,臑当1双からなる。