観察の森くりりんは,平成15年4月に栗生小学校10周年記念行事の一環として開園しました。「くりりん」は栗生小学校の校木「栗」とすてきな「林」に育ってほしいという願いから名づけられました。
みて ふれて かんじる
池と池をつなぐせせらぎの水音。スイレンの咲く周りを泳ぐ魚たち。くりりんに足を一歩踏み入れると,そこは何の隔たりもなく自然にふれあえるゾーンが広がります。
くりりんには学校の周りを流れているサイカチ川の生き物が見られます。また,隣接した田からトンボやカエルなどが訪れるため,多様な生き物を季節に応じて観察することができます。
ヤゴやヌカエビ,オタマジャクシは浅い池で過ごすので子供たちは手で簡単にすくって見ることができます。栗生地域でひと昔前の子供たちが田のあぜ道で生き物とふれあった光景が再現されています。生き物と関わる喜び,小さな生き物にも大切な生命があることを毎日,体験を通して感
じています。
くりりん樹木配置図
くりりんには100種類以上の樹木が植えられています。造成の時には地元の樹木を入れることができなかったものの,地域の方々の協力を得て,毎年少しずつ林に自生する植物を入れています。
池やその周りで観察できる生き物
魚類
ウグイ・オイカワ・ギバチ・モツゴ・フナ・アブラハヤ・クロメダカ・ドジョウ・シマドジョウ・ホトケドジョウ・タイリクバラタナゴ
両生類・昆虫・その他
ニホンアカガエル・アマガエル・イモリ・ヤゴ(イトトンボ・シオカラトンボ・アキアカネ・クロスジギンヤンマ)・カゲロウ・トビケラ・ゲンジボタル・アメンボ・コオイムシ・ゲンゴロウ・ヌカエビ・カラスガイ・カワニナ・モノアラガイ・イトトンボ
くりりんを活用した学習
くりりんでは池の生き物や樹木を使った学習を理科・生活科・総合的な学習の時間を使って多くの学年で取り組んでいます。エゴノキの実を集めたり,紅葉した葉を栞にしたり。秋の虫探しでは,草地でバッタを追いかける姿が見られます。教室でもメダカやヌカエビを飼育して生き物のくらしを観察する学級もあります。
図工科では写生を,国語科では詩の学習に使われることもあります。
朝・休み時間・放課後の活用
くりりんのよさは,いつでも観察できること。朝と帰りでは少しずつ見られる生き物,植物が異なりいろいろな発見をすることができます。
ビオトープを支援するネットワーク
【栗生小学校ビオトープ研究会】
○栗生小学校父母教師会
○栗っこネットワーク
○一丸会(地元長男の会)
○地元農業団体
○歳楽会(老人クラブ)
○栗生小学校
○おやじクラブ
くりりんを維持し,さらに充実させていくためには学校の力だけでは限りがあります。本校はPTAをはじめ学校開校当時から温かく支援してくださる地域の方々のネットワークがあり,それを中心にビオトープ研究会を組織して,主に次の3つの活動を行っています。
† ビオトープの維持・管理
† 環境学習への支援・土曜かんきょうスクール
† 里山などの生態系を残す活動
ビオトープ(BIOTOP)とは
ビオトープとは,ドイツ語でBIO(生き物)とTOP(場所)の合成語で「生き物の住む空間」という意味。野生生物が互いに支え合って共存している生態系,生息空間のこと。 近年では人工的に植物や魚,昆虫が共存する空間として作り出したものを「ビオトープ」と呼ぶことが多くなり,小学校の敷地の一部をビオトープにし,子どもたちが自然と触れ合う場として利用したり,企業が工場周辺にビオトープを作るなど環境保全活動の一つとして活用する例も増えています。
これからのくりりん
学校ビオトープ「観察の森くりりん」はまだまだ野生生物が共存する生態系ができているとは言えません。それでも,学校の下の田んぼからカエルが上がってきたり,トンボが飛んできて卵を産卵し,翌年羽化したり少しず地域の自然とつながりを持ってきています。ヌカエビやメダカが増えているくりりんでは,それをねらって鳥もやってきます。これからは,見守って育てる学習だけではなく,生き物のつながりを学ぶことも必要です。例えば,蕃山の林に入ってドングリを拾い,くりりんに植える活動も自然とのつながりを保つことになります。里山や川の生態系をくりりんに築きながら,人と人とがかかわることの尊さを学ぶ場にしていきたいと思います。
観察の森くりりん全景