中世の城館跡。
おおはらたてあと
大原館跡
Ohara tate-ato
解説
大原館跡は,市の西部にあり,JR熊ヶ根駅の北東約4㎞に位置する。青下川と大倉川が広瀬川に合流する地点にあたり,段丘が南側に突き出た先端部に立地する中世の城館跡である。標高は177~179mで南側に向って緩やかに傾斜し,現在は大部分が水田となっている。面積は7,500㎡,東西約170m,南北130m,東・南・西側の三方が高さ約50mの段丘崖になっている。北側はそのまま広い段丘面に続いているが,この北側には約90mの長さで土塁が残り,一部は二重になっている。また土塁の間には堀跡とみられる痕跡も残っていた。平成3年(1991),土地改良総合整備事業に伴い,仙台市教育委員会による遺跡範囲確認調査が実施された。調査の結果,土塁が平行して3本,土塁の間に堀跡(溝跡)が2条確認された。土塁のうち最も北側のものは大部分が削られていて明瞭ではないが,残りの2本は基底部の幅がそれぞれ6.4m,8.7m,高さ約1.5mが残っていた。堀跡(溝跡)は幅2.2~2.4m,土塁基底部からの深さが0.4~0.8mである。縄文土器,弥生土器,石器などが出土しているが,館に関係する遺物は発見されなかった。大原館跡に係わる記録は,延宝年間(1673~1681)の『仙台領古城書上』に「三方川古城」,安永3年(1774)に編纂された『安永風土記-大倉村書上』に「大原館」として記述があり,後者では国分家臣の作並宮内の居館であったとされているが,その作並氏については記録が残されていないため詳細は不明である。