市内で初めて発掘調査された,江戸時代の農村の屋敷跡。
きたやしきいせき
北屋敷遺跡
Kitayashiki iseki
解説
北屋敷遺跡は,市の東部にあり,JR仙台駅から東約6.8㎞に位置する。標高5m前後の自然堤防上に立地し,面積は約23,600㎡で,東西180m,南北200mの範囲が遺跡に登録されている。昭和53年(1978)に六丁の目コミュニティーセンター建設に伴い,仙台市教育委員会により発掘調査が行なわれた。その結果,平安時代から近世までの複合遺跡であることが明らかになった。遺跡の中心となるのは,江戸時代の農村の屋敷跡と考えられる遺構である。屋敷は堀で囲まれ,その中に掘立柱建物跡・土坑・井戸跡などの遺構が発見された。堀は屋敷を囲むほか,隣接する屋敷との区画施設の役割も果たしている。屋敷内からは,瀬戸・美濃産陶器,大堀相馬産陶器や,肥前産の磁器,瓦質土器,灯明(とうみょう)皿,漆器などの遺物が出土している。また17~19世紀の墓石も発見されている。その後,仙台市教育委員会による数次の発掘調査が実施され,溝跡,土坑,柱穴などが発見されている。屋敷地の区画やその内部の全体的な状況などは把握されていないが,江戸時代の農村部の屋敷の構造と生活の様子を知ることのできる遺跡として貴重である。