瓦や須恵器などを生産した奈良時代の窯跡。
こうしんまえかまあと
庚申前窯跡
Koshinmae kama-ato
解説
庚申前窯跡は,市の中心部に近く,JR東照宮駅の西側約0.9kmに位置する。台原・小田原丘陵内の頂部,標高約49mの丘陵南西斜面に立地している。面積は5,400㎡である。この丘陵では,奈良・平安時代に陸奥国の国府である多賀城や陸奥国分寺の瓦などを生産,供給した窯が多数操業され,台原・小田原窯跡群と総称されている。本窯跡もそのひとつで,宅地造成で丘陵斜面が掘削された際に発見された。昭和44年(1969)に調査が行われ,奈良時代の窯跡が,5基のまとまりをもって検出された。5基はいずれも削平を受けていたが,窯の構造が判明した4基は,全て地下式無階無段登窯であった。その内の3基は,瓦と石を焼台としており,瓦を主体的に生産し,残る1基は,出土遺物から主に須恵器を生産していた窯跡と考えられ,焼台も須恵器のみが使用されていた。