武家屋敷に関わる遺構や遺物が出土。
さくらがおかこうえんいせき
桜ヶ岡公園遺跡
Sakuragaoka-koen iseki
解説
桜ヶ岡公園遺跡は,市の中心部に近く,JR仙台駅から西約1.7㎞に位置する。広瀬川左岸の河岸段丘上に立地し,標高は約32~46.5mで,面積は約108,300㎡,その範囲は東西約350m,南北約660mである。地下鉄東西線建設事業に伴い,平成16年(2004)・17年に試掘調査が行われ,近世を中心とした時期の遺構・遺物が発見されたことから遺跡登録された。発掘調査は平成19年から平成22年に行われた。河岸段丘の最も高い面は,城下絵図によると武士の屋敷地となっており,明治時代には和洋料亭「挹翠館(ゆうすいかん)」が建築された。この段丘面の調査では,近世の遺構面3面(Ⅰ期~Ⅲ期)と近代の遺構面1面が確認された。Ⅰ期は武家屋敷地造成以前の17世紀初頭で,溝跡などがある。Ⅱ期は17世紀中頃から18世紀中頃で,武家屋敷を構成する5棟の掘立柱建物跡を検出した。Ⅲ期は18世紀中頃から19世紀初頭で,武家屋敷の区画施設とみられる石組溝を検出した。該地が継続して武家屋敷であったことが確認された。近代の遺構には,挹翠館(ゆうすいかん)の基礎,石組溝などがあり,フランス産の磁器などが出土している。武家屋敷から一段下がった段丘面は,絵図資料から武家奉公人の居住域とされる。この段丘面の,18世紀前半以前から19世紀中頃の整地面5面と整地以前の遺構面1面を検出した。19世紀初頭以前及び19世紀中頃では建物跡などが検出され,居住域と推定される一方,18世紀前半以前及び18世紀前半から19世紀初頭では,土坑群が検出されるなど,土地利用の変遷が認められる。特筆すべき出土遺物には,金箔瓦・金箔付土師質土器,一分判金,紀年銘のあるシャチ瓦などがある。