条里型の地割を見せる中世以降の水田跡。
せんだいとうこうじょうりあと
仙台東郊条里跡
Sendai-toko-jori ato
解説
仙台東郊条里跡は,市の東部にあり,地下鉄六丁の目駅の南西約1.3㎞に位置する。標高5~8mの後背湿地に立地し,仙台バイパス蒲町交差点から蒲町小学校の東部にかけての陸上自衛隊霞目駐屯地の北側に広がっている。面積は約413,300㎡で,東西950m・南北740mの範囲が遺跡として登録されている。古代には律令制度に基づいて,口分田を支給するための「条里制」と呼ばれる耕地の区画制度があった。耕地を6町(約650m)間隔で縦横に区切り,その6町間隔の列を条,6町平方の1区画を里と呼んだ。条里制の名はこれに由来する。1里はさらに1町(約109m)間隔で縦横に区切って36等分し,その1区画を坪と呼んだ。そして条・里・坪に番号をつけて土地の台帳とし,口分田の支給の便をはかった。古い航空写真や地図を見ると,条里制に基づくと推定される碁盤の目状の地割が残っている地区を確認することができる。仙台市内でも数地区で条里型地割が確認され,そのひとつが仙台東郊条里跡であった。平成5年(1993),蒲町コミュニティーセンター建設の際に発掘調査が行われており,条里型地割の影響を受けたと考えられる水路などが発見されたが,確実に古代にさかのぼる水路や水田の畦畔(けいはん)などは確認されなかった。また,平成24年に土地区画整理事業に伴って実施された確認調査の結果,以前の耕地整理によって古代に相当する層はすでに削平され,ほとんど残存していないことが明らかになった。航空写真などで確認された条里型の地割は,古代の条里制に基づくものではなく,中世以降の地割と判断される。