古墳時代から平安時代にかけての集落跡。
だんのこしいせき
壇腰遺跡
Dannokoshi iseki
解説
壇腰遺跡は,市の南部にあり,JR南仙台駅の南0.6kmに位置する。名取川の下流域右岸の,標高8m程度の自然堤防上に立地し,面積は約6,900㎡である。仙台市の南東部に位置する太白区内でも最南端部に当たり,南側は名取市との市境となっている。かつて周辺には豊かな田園地帯が広がり,稲や野菜類を生産する近郊農業地帯であったが,土地区画整理や宅地造成などにより宅地化が進行し,現在では仙台市街のベッドタウンとなっている。本遺跡周辺は仙台市内でも遺跡数の多い地域として知られる地域であり,北側には,14世紀に佐々木勘解由(かげゆ)が居城したと言われる「前田館跡」がある。本遺跡は,古墳時代終末期から平安時代前半まで断続的に存続した集落跡が中心となる。平成15年(2003)の調査では,古墳時代終末期から奈良・平安時代の竪穴住居跡13軒,掘立柱建物跡1棟,溝跡1条,土坑3基,中世の前田館跡との関連が想定される堀跡1条が検出されている。古墳時代終末期~平安時代の遺構の内訳は,古墳時代後期後半が竪穴住居跡3軒,溝跡1条,奈良時代は竪穴住居跡4軒,土坑2基,平安時代では竪穴住居跡5軒である。時期を示す遺物が出土していない住居跡や土坑については,奈良~平安時代の時期のものと推定される。古墳時代後期~平安時代の竪穴住居跡数は,調査範囲内では突出する時期は認められず,遺構相互の重複関係は少ない。断続的にではあるが,集落が営まれ続けていた状況が推定できる。