県内でも数少ない弥生時代の竪穴住居跡や,丘陵上の古墳時代集落跡を発見。
どてうちいせき
土手内遺跡
Doteuchi iseki
解説
土手内遺跡は,市の南部にあり,JR長町駅の西約2.5㎞に位置する。奥羽山脈から派生する青葉山丘陵の南部にあたり,標高は65~70mで,面積は約15,400㎡である。平成元年(1989)に仙台市教育委員会により宅地造成に伴う調査が実施され,弥生時代と古墳時代前期から中期にかけての竪穴住居跡が多数発見された。弥生時代の遺構では,竪穴住居跡1軒,土坑1基が発見されている。住居跡の床面からは弥生土器の甕(かめ)が出土している。このほかアメリカ式石鏃(せきぞく)と呼ばれる特徴的な石器や,糸を紡ぐ道具である土製の紡錘車(ぼうすいしゃ)がある。弥生時代の竪穴住居跡は県内でも発見例が少なく,この時代の生活を知る上で貴重である。古墳時代の遺構では,前期の竪穴住居跡5軒,中期の竪穴住居跡3軒などが発見されている。これらの住居跡には,住居内の壁から外側に延びる排水溝が見られ,丘陵地における住居の構造の特徴を示している。遺物では,古墳時代前期・中期の土師器,石製の紡錘車が出土している。丘陵上にある古墳時代の集落として注目される重要な遺跡である。また,丘陵南東側の斜面には古墳時代終末期前半(7世紀前葉~中葉)の須恵器窯跡3基と,古墳時代終末期の後半(7世紀中葉~8世紀初頭)から奈良時代前半の横穴墓8基がある。窯跡の製品の供給先については明らかではないが,東方約2.5㎞にある郡山遺跡Ⅰ期官衙(かんが)などとの関連が推定される。このほか,遺跡からは,縄文土器や奈良・平安時代の土師器・須恵器が出土している。