弥生時代から平安時代にかけての遺跡。県内2例目の人物埴輪を発見。
はらいせき
原遺跡
Hara iseki
解説
原遺跡は,市の南部にあり,JR長町駅の西約2.5kmに位置する。青葉山丘陵南側の緩斜面を持つ標高32~39mの段丘面上に立地し,面積は約18,000㎡である。土地造成に伴い,平成9年(1997)から平成12年にかけて,4回の調査が行われている。弥生時代から平安時代にかけて,遺物と遺構が見つかっている。弥生時代では,後期の天王山式期の竪穴住居跡が3軒,古墳時代では前期の塩釜式期の方墳2基,竪穴住居跡6軒,中期~後期(5世紀後半~6世紀前葉)の円墳11基,埴輪棺墓1基,奈良時代では,竪穴住居跡2軒,竪穴遺構1基,平安時代では,土壙墓11基などである。古墳前期の方墳には墳丘の一部と粘土郭を伴う割竹形木棺の主体部が残存していた。古墳時代中期から後期の古墳に関連する遺物としては,多くの円筒埴輪のほか,宮城県内2例目となる人物埴輪が出土している。また,周溝から埴輪片の他に土師器片,須恵器片,陶器片,鉄製品,石製品などが少量出土している。平安時代の土壙墓の出土遺物は,土師器のほか,鉄釘が出土しているものが1基あり,木棺墓であった可能性がある。調査成果から原遺跡は古墳群や弥生時代以降の集落の形態を知る手がかりとなる貴重な遺跡である。