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保春院前遺跡

江戸時代を中心とする複合遺跡。旧七郷堀跡や製鉄関連遺物を発見。

ほしゅんいんまえいせき

保春院前遺跡

Hoshun'in-mae iseki

種別区分
集落跡 生産遺跡
年代
古代 中世 近世
面積
5,200㎡

所在地

若林区六十人町
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解説

保春院前遺跡は,市の東部にあり,JR仙台駅の南東約2.2㎞に位置する。仙台市街地の東側,広瀬川の北側に位置し,宮城野海岸平野と呼ばれる沖積平野の標高12~14mの自然堤防上に立地している。面積は約5,200㎡である。東側には養種園遺跡が隣接し,南側は七郷堀と接している。周辺には南小泉遺跡,若林城跡,遠見塚古墳,法領塚古墳,猫塚古墳,蛇塚古墳がある。都市計画道路南小泉茂庭線の建設に伴い平成11年(1999)に発掘調査が実施され,遺跡として登録された。古代から近世の集落遺跡である。調査では,溝跡,土坑,柱穴跡などが高い密度で発見されており,特に江戸時代のものが中心的であり注目される。遺跡の南側からは,現七郷堀と平行する幅の広い溝跡が複数発見されており,古い時期の七郷堀と考えられる。この溝跡にはコの字状の張り出しが造られたり,複数の時期にわたって別の溝跡が接続していることが確認された。船着き場状の施設と推測され,七郷堀が用水目的だけでなく,舟運にも利用されていた可能性が浮かび上がった。廃棄穴とみられる土坑のうちの1つからは,ほぼ1個体分の鋳型の外型が破片状態で出土した。このほかにもルツボ,羽口(はぐち),鉄滓(てっさい),砥石,鋳造関連土製品など製鉄に関する遺物が多量に発見されている。製鉄に関わる直接的な遺構は検出されていないが,当地において何らかの製鉄・鍛冶活動が行われていたことが考えられる。特に内径9~10㎝のフイゴの羽口は,大型の鍛冶施設の存在を窺わせるものである。当地は下級武士の居住域であったことにも留意すべきである。他に目立つものとして窯跡や池跡が挙げられるが,これらの利用目的や,武家屋敷と七郷堀のいずれに属するかなど不明な点が多い。

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