古墳時代中・後期の2基の古墳。
やしきひがしいせき
屋敷東遺跡
Yashiki-higashi iseki
解説
屋敷東遺跡は,市の東部にあり,仙台東部道路の東側,海岸線から約2.7㎞に位置する。約4,500~5,000年前に形成された第Ⅰ浜堤列上に立地している。標高は1.1mで,面積は約6,000㎡である。周辺には南に下飯田薬師堂古墳,下飯田東遺跡があり,西には藤田新田遺跡,南西には下飯田遺跡がある。かつて円筒埴輪が採集されたことから古墳の存在が推定されていたが,平成26年(2014)の発掘調査により古墳時代中期から後期(5~6世紀)とみられる古墳2基が検出された。1号墳は周溝外縁での直径が約22mで,墳丘は削平されてほぼ失われている。周溝の幅は約5m,深さは50㎝程度で,周溝の堆積土中には十和田a火山灰(10世紀初頭)の堆積がみられた。周溝の底面近くからは5世紀後半~6世紀前葉とみられる円筒埴輪が出土している。2号墳は周溝の一部が検出されたのみにとどまる。周溝の幅は2.5m以上,深さは40cm以上で,堆積土中には1号墳同様十和田a火山灰の堆積がみられた。このほかに,調査区内から溝跡,土坑が検出されている。溝跡は出土遺物から平安時代に属するとみられる。南北方向に90m以上延びているものと推定され,遺跡を縦断している可能性がある大規模なものである。土坑は5基からなる土坑群を形成するが,用途などは不明である。当地で古墳が発見されたことは,4~8世紀の居住域である藤田新田遺跡・下飯田遺跡や,下飯田薬師堂古墳の存在とあわせて,当地の居住域や墓域の変遷,あるいはそれらの関係性を考えるうえで重要である。