はじめに

 仙台市立仙台商業高等学校(以下「本校」という。)におけるいじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見およびいじめへの対処をいう。)のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第13条及び仙台市いじめの防止等に関する条例(平成31年仙台市条例第28号。以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、「仙台市立仙台商業高等学校いじめ防止基本方針」(以下「学校いじめ防止基本方針」という。)としてまとめ、ここに策定する。

 本校は、保護者や地域住民等との連携の下、子供の尊厳を脅かすいじめが、いつでも、どこでも、いずれの子供にも起こり得るものであるとの共通の理解をもって真摯に向き合い、いじめの防止等の取り組みを、変化する時代を背景に不断の見直しを行いながら、着実に推進していく。

基本的な考え方

1 いじめの防止等の対策に関する基本理念

  法第3条に規定されている基本理念は次のとおりである。

  • いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。
  • いじめの防止等のための対策は、全ての児童等がいじめを行わず、及び他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないようにするため、いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない。
  • いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた児童等の生命及び心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。  

 条例第3条では、法第3条に規定する基本理念のほか、次に掲げるものを基本理念として行わなければならないとしている。

  • いじめの防止等のための対策は、学校が、全ての児童生徒にとって安心でき、かつ、自己有用感及び自己肯定感を高める楽しい学びの場であるべきことを旨として、行われなければならない。
  • いじめの防止等のための対策は、全ての児童生徒がいじめを受ける側にも行う側にもなり得るとの認識の下、いじめを早期に発見し、及び適切かつ迅速に対処すべきことを旨として、行われなければならない。
  • いじめの防止等のための対策は、暴力や暴言が児童生徒の心身に深刻な影響を及ぼすことを考慮し、児童生徒が健やかに育つことのできる環境の実現を目指して、行われなければならない。
  • いじめの防止等のための対策は、いじめの要因を把握し、いじめの再発を防止することを旨として、行われなければならない。
  • いじめの防止等のための対策は、地域における交流が児童生徒の自己有用感及び自己肯定感を高めることに資することに鑑み、地域における活動及び行事がいじめの防止等に資するとの認識に立って、取り組まれるものとする。  

 本校は、この基本理念の下、かけがえのない子どもたちがいじめによって悩み、苦しむことなく、元気で明るく学び、健やかに成長していくことができるよう、いじめをなくすための対策に、強い決意で取り組んでいく。

2 市立学校及び市立学校の教職員の責務

 仙台市では、条例第7条により、市立学校及び市立学校の教職員の責務が次のとおり定めている。本校は、その責務を十分認識の上、いじめをなくすための対策に総力を挙げて取り組むものとする。

 市立学校及び市立学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該市立学校に在籍する児童生徒の保護者及び地域住民並びに関係機関との連携を図りつつ、当該市立学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該市立学校に在籍する児童生徒がいじめを行い、又は受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。  

3 いじめの定義等

(1)いじめの定義

 いじめの定義は、条例第2条第1号により、法第2条第1項と同様に次のとおり定めている。本校はこの定義に基づき適切に対処していくものとする。

 「いじめ」とは、児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。  

 個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、いじめを受けた生徒の立場に立つことが重要である。この際、いじめには、多様な態様があることに鑑み、法の対象となるいじめに該当するか否かを判断するに当たり、行為が起こったときのいじめを受けた生徒本人や周辺の状況等を客観的に確認しながらも、被害生徒本人がそれを否定する場合や本人が気づかない場合等が多々あることを踏まえ、被害生徒の表情や様子をきめ細かく観察するなど、「心身の苦痛を感じているもの」との要件が限定して解釈されることのないよう努めることが必要である。

 「一定の人的関係」とは、学校の内外を問わず、同じ学校・学級や部活動の生徒や、塾やスポーツクラブ等当該生徒が関わっている仲間や集団(グループ)など、当該生徒と何らかの人的関係を指す。

 また、「物理的な影響」とは、身体的な影響のほか、金品をたかられたり、隠されたり、嫌なことを無理矢理させられたりすることなどを意味する。

 けんかやふざけ合いであっても、見えない所で被害が発生している場合もあるため、背景にある事情の調査を行い、生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断するものとする。

 なお、例えばインターネット上で悪口を書かれた生徒がいたが、当該生徒がそのことを知らずにいるような場合など、行為の対象となる生徒本人が心身の苦痛を感じるに至っていないケースについても、加害行為を行った生徒に対する指導等については法の趣旨を踏まえた適切な対応が必要である。

 加えて、いじめを受けた生徒の立場に立って、いじめに当たると判断した場合にも、その全てが厳しい指導を要する場合であるとは限らない。例えば、好意から行った行為が意図せずに相手側の生徒に心身の苦痛を感じさせてしまったような場合、軽い言葉で相手を傷付けたが、すぐに加害者が謝罪し教員の指導によらずして良好な関係を再び築くことができた場合等においては、学校は、「いじめ」という言葉を使わず指導するなど、柔軟な対応による対処も可能である。ただし、これらの場合であっても、法が定義するいじめに該当するため、事案を条例第14条及び法第22条の学校いじめ防止等対策委員会へ情報共有することは必要となる。

 いじめの認知は、特定の教職員のみによることなく、条例第14条及び法第22条の「学校いじめ防止等対策委員会」を活用して行う。

 〔具体的ないじめの態様の例〕

  • 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
  • 仲間はずれ、集団による無視をされる
  • 軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
  • ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする
  • 金品をたかられる
  • 金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
  • 嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
  • パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷等の嫌なことをされる  など

 「いじめ」の中には、犯罪行為に当たるものや、生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じる恐れから、直ちに警察に通報することが必要なものもある。

 このような場合には、教育的な配慮や被害者の意向にも配慮の上で、警察と連携した対応を図ることが重要である。

(2)いじめの理解

 いじめは、どの子供にも、どの学校でも、起こり得るものである。とりわけ、嫌がらせやいじわる等の「暴力を伴わないいじめ」は、多くの生徒が入れ替わりながら被害者にも加害者にもなり得る。また、「暴力を伴わないいじめ」であっても、何度も繰り返されたり多くの者から集中的に行われたりすることで、「暴力を伴ういじめ」とともに、生命又は身体に重大な危険を生じさせうるものであることを理解して対応に当たる。

 また、「友人関係」における双方の力関係のバランスが崩れると、「遊び・ふざけ」が「いじめ」へと変わることにも注意する必要がある。

 さらには、いじめの加害・被害という二者関係だけでなく、社会全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるようにすることが大切である。具体的には、学級や部活動等の所属集団の構造上の問題(例えば仲間意識に起因する排他性、集団内での人間関係の序列化など)を理解して対応するとともに、「観衆」としていじめをはやし立てたり面白がったりする存在や、いじめを見て見ぬふりをし周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」の存在にも注意を払う必要がある。

 国基本方針で示されている発達障害を含む障害のある生徒、海外から帰国した生徒や外国人の生徒、国際結婚の保護者を持つなど外国につながる生徒、性同一性障害や性的指向・性自認に係る生徒、各種災害において被災した生徒、原子力発電所事故により避難している生徒を含め、本校は、特に配慮が必要な生徒について、当該生徒の特性を十分理解した上で、当該生徒の保護者とともに、必要に応じて関係機関と連携を図りながら、日常的に適切な支援を組織的に行うことが、いじめ防止の観点からも求められることについても、十分留意していく。

4 いじめの防止等に関する基本的な考え方

 本校においては、「いじめはしない・させない・許さない」の考え方を基本に、「いじめは早期発見・適切かつ迅速な対処が重要」との姿勢の下、「地域とともに歩む学校」づくりを進め、いじめの問題と真摯に向き合い、家庭や地域、関係機関等とも連携を図りながら、いじめの防止等の取り組みを確実に推進していく。

(1)いじめの防止 ~「いじめはしない・させない・許さない」

 いじめの問題をより根本的に克服していくためには、「いじめはどの子供にも、どの学校でも起こりうるものである」との認識を持って、全ての生徒を対象としたいじめの未然防止に取り組むことが何よりも重要である。特に生徒をいじめに向かわせることなく、心の通う対人関係を構築できる社会性のある人間としての成長を促しながら、いじめを生まない土壌を作っていくためには、教職員をはじめ関係者による一体となった継続的な取り組みが必要である。

 いじめ問題の解決のためには、加害・被害の関係改善だけにとどまらず、周囲の「観衆」や「傍観者」の立場をとる生徒への働き掛けと意識付けが何より重要であり、生徒自身が「いじめをしない」という強い気持ちを持ち、また、一人一人がその所属する集団の中で、「いじめをさせない、許さない」といった態度・姿勢を示していくことで、いじめの多くは抑止できるものと考えられる。

 なお、条例では、生徒のいじめの禁止及び生徒の心構えについて、次のとおり定めている。

(いじめの禁止及び生徒の心構え)
第4条 児童生徒は、いじめを行ってはならない。
2 児童生徒は、自己を大切にするとともに、他者を思いやるよう努めるものとする。  

 このため、学校の教育活動全体を通じ、法や条例により生徒はいじめを行ってはならないと定められていることについて周知を図りつつ、生徒の豊かな情操や道徳心、自分の存在と他人の存在を等しく認め、互いの人格を尊重し合える態度・社会性など、心の通う人間関係を構築するための素地を養うことが必要である。特に、東日本大震災による被災地である仙台市においては、復興の未来を担う生徒が、命の尊さを学び、自らの存在価値を認め、自己を大切にするとともに、他者を思いやり、協力する心を育成することなどが強く求められるところである。

 さらに、いじめの背景には様々な要因が考えられるが、中でもストレス等の要因に着目し、その改善を図り、ストレスに適切に対処できる力を育む観点が必要である。加えて、全ての生徒が安心でき、自己有用感や自己肯定感、充実感を感じられる学校生活づくりも未然防止の観点から重要である。

 また、これらに加え、いじめの問題への取り組みの重要性について保護者や地域全体に認識を広め、家庭や地域においても、いじめを見逃さず、これを許さないとの姿勢を持って、学校と一体となった取り組みを推進することが必要である。

 いじめの防止においては、以上を踏まえ「いじめはしない・させない・許さない」の考え方を基本として進めていく。

(2)いじめの早期発見 ~「いじめは早期発見・適切かつ迅速な対処が重要」

 「いじめは早期発見、適切かつ迅速な対処が重要」との姿勢の下、教職員は、生徒の保護者をはじめ、当該生徒と関わる大人と連携し、生徒のささいな変化にも気付き対応していくことが大切である。このため、いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って行われたりするなど、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることを認識し、ささいな兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持って、生徒が発する不安や変化を見逃さず、早い段階から的確に関わりを持ち、積極的にいじめを認知することが必要である。

 また、いじめの早期発見のためには、生徒や保護者が教職員に信頼し安心して相談できるよう、教職員と生徒及び保護者との間の常日頃からの信頼関係の醸成が重要である。本校は、定期的なアンケート調査や教育相談の実施、相談窓口の周知等により、生徒や保護者がいじめについて相談しやすい体制を整えるとともに、地域、家庭と連携して生徒を見守ることも必要である。

(3)いじめへの適切かつ迅速な対処

 いじめがあることが確認された場合、本校は、いじめを受けた生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全を最優先に確保し、当該生徒を守り通すとの姿勢の下に事実の詳細を確認した上で、いじめたとされる生徒や周囲の生徒に事情を確認し適切に指導を進めるなどの対応を、いじめを受けた側と行った側の双方の生徒やその保護者との間で共通理解の下に行われるよう配慮しながら、適切かつ迅速に組織で行うことが必要である。また、家庭や市教育委員会への連絡・相談や、事案に応じ関係機関との連携が必要である。

 そのため、教職員は普段より、いじめを把握した場合の対処の在り方について、市教育委員会作成の教員向けの手引書や校内研修などを通じて、理解を深めておくことが必要であり、更には、学校における組織的な対応を可能とするような体制を事前に整備しておくことが大切である。

(4)家庭や地域との連携 ~「地域とともに歩む学校」づくりの推進

 社会全体で生徒を見守り、健やかな成長を促すためには、学校関係者と地域、家庭との連携が必要である。特に、保護者が子供の教育について第一義的責任を負い、規範意識等を養うための指導等をより適切に行うためには、地域を含めた家庭との連携の強化が重要であり、PTAや地域の関係団体等と学校が、いじめの問題も含めた生徒の現状について共通理解に立ち、連携し協働で取り組むことが必要である。

 仙台市においては、現在、生徒のよりよい学びのために、学校が積極的に家庭・地域と連携して豊かな教育環境の創出を目指す「地域とともに歩む学校」づくりを教育活動の基盤に据えて進めているところであり、本校としても、この理念の下、学校支援地域本部など、学校が家庭・地域と一体となって地域ぐるみで生徒を育てる体制づくりを進めていく中で、いじめの防止等についても、対応を図っていくことが極めて重要である。

 また、いじめの未然防止や早期発見につながる場合もあることから、生徒が日頃から、異なる年齢を含めた他の生徒や大人と関わりを持つ機会として、地域における活動や行事も重要である。

(5)関係機関や他の学校との連携 

 本校として、いじめに関係した生徒に対して、必要な教育上の措置を講じているにもかかわらず、その指導により十分な効果を上げることが困難な場合などには、警察や法務局、相談関係専門機関や医療機関、生徒の指導上の問題の解決のための学校関係機関等との適切な連携が有効であり、日頃から、本校と関係機関の担当者間での情報交換や連絡会議の開催など、情報共有体制を構築しておくことが必要である。

 このほか、生徒の入学、卒業、転出入に際しても、これまで在籍した学校(市立学校以外の学校を含む。)と、入学・転入先の学校間において、必要な情報が円滑に引き継がれるよう特に留意することが求められる。

いじめの防止等のための対策の内容

1 いじめの防止等の対策のための組織の設置

(1)仙台市立仙台商業高等学校いじめ防止等対策委員会

 本校においては、法第22条及び条例第14条に基づき、いじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、「仙台市立仙台商業高等学校いじめ防止等対策委員会」(以下「本校いじめ対策委員会」という。)を設置する。

 本校いじめ対策委員会は、基本的に、校長、教頭、主幹教諭、教務部長、いじめ対策担当教諭、生徒指導部長、教育相談担当教諭、不登校支援コーディネーター、特別支援教育コーディネーター、学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー等の構成により、内容・案件により、他の必要な教職員やスクールソーシャルワーカーなどの外部の専門家も参画させるなど、校長が実情に応じて定めるものとする。 

 本校いじめ対策委員会は、いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの適切かつ迅速な対処等、学校が組織的かつ実効的にいじめの問題に取り組むに当たって中核となる役割を担うものである。その所掌事務は次の通りとする。

  • ア 学校いじめ防止基本方針に基づく取り組みの具体的な年間推進計画の策定
  • イ 本校のいじめの防止等のための対策の企画、実施又は承認
  • ウ いじめの相談・通報窓口
  • エ いじめの疑いに関する情報や生徒の問題行動などの情報の収集、記録、共有
  • オ いじめの事案が発生した場合の対処(事実関係の調査、対応や指導等の方針決定等)
  • カ 本校のいじめの防止等のための対策の取り組み結果の点検・評価(学校いじめ防止基本方針が学校の実情に即して適切に機能しているかどうかや、学校で定めたいじめの防止等のための取り組みが計画どおりに進んでいるかどうかのチェック、いじめの対処がうまくいかなかったケースの検証、必要に応じた計画の見直しなど、各学校のいじめの防止等の取り組みに係るPDCAサイクルによる検証)
  • キ その他いじめの防止等に関する重要事項  
(2)仙台市立仙台商業高等学校いじめ調査委員会

 法第28条第1項に定めるいじめの重大事態が発生し、市教育委員会より、学校が主体となった調査を行うように指示があった場合には、校長は、「本校いじめ対策委員会」を母体にし、学校評議員、PTA役員、学校医などの学校以外の委員を加えるなど、公平性・中立性の確保に努めた構成により、「仙台市立仙台商業高等学校いじめ調査委員会」を設置して調査を行う。

 具体的には、あらかじめ校長が「仙台商業高等学校いじめ調査委員会設置要項」を定め、対象事案が発生した場合には、委員を任命し、迅速に対応する。

2 いじめの防止等に関する取り組み

 いじめの防止等に向けた取り組みを適切かつ有効に機能させるためには、校長がリーダーシップを発揮し、主体的かつ組織的に学校が一丸となって取り組むことが求められる。

 また、いじめの防止等に向けた取り組みを有効に機能させる上で、学校における円滑な情報共有は極めて重要であり、そのための学校の雰囲気づくりを校長自らが率先して取り組んでいく。

 本校は、特に下記に掲げる事項に留意し、具体的取り組みの例に掲げるような計画・取り組みなどを踏まえつつ、併せて国基本方針に添付された「学校における『いじめ防止』『早期発見』『いじめに対する措置』のポイント」等も参考にしながら、創意工夫の上、市教育委員会等と連携して、 いじめの防止や早期発見、事案対処等に当たる。

(1)いじめの防止

 条例では、市立学校におけるいじめの防止及びいじめの防止等のための教職員の資質向上について、次のとおり定めている。

(市立学校におけるいじめの防止)
第12条 教育委員会及び市立学校は、児童生徒の豊かな情操と道徳心を培い、心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に資することを踏まえ、全ての教育活動を通じた道徳教育及び体験活動等の充実を図らなければならない。
2 市立学校は、当該市立学校におけるいじめを防止するため、当該市立学校に在籍する児童生徒及びその保護者に対するいじめの防止等に関する理解を深めるための啓発その他必要な措置を講ずるものとする。
3 市立学校は、当該市立学校に在籍する特に配慮が必要な児童生徒について、当該児童生徒の保護者との連携の下、必要に応じて関係機関と連携を図りつつ、いじめの防止等のための対策を講ずるものとする。
4 市立学校の教職員は、当該市立学校の教育活動その他の活動を通じて、当該市立学校に在籍する児童生徒の自己有用感及び自己肯定感を高めるよう配慮するものとする。
5 市立学校の教職員は、当該市立学校に在籍する児童生徒に対し、体罰を加え、及び不適切な指導(児童生徒の人間性又は人格の尊厳を損ね、又は否定する言動を伴う指導をいう。)を行ってはならない。 
(いじめの防止等のための教職員の資質の向上等)
第13条 市立学校は、当該市立学校の教職員に対し、いじめの防止等のための対策に関する研修の実施その他のいじめの防止等のための対策に関する資質の向上に必要な措置を講ずるものとする。  

 本校においては、いじめはどの子供にも起こりうるという事実を踏まえ、全ての生徒を対象に、いじめに向かわせないための未然防止の取り組みとして、道徳教育の充実はもとより、学級活動、生徒会活動等の特別活動等において、生徒が自主的にいじめの問題について考え、議論すること等の生徒の主体的な取り組みを推進する。

 未然防止の基本は、生徒が他者への思いやりや、心の通じ合うコミュニケーション能力を育みながら、周囲の友人や教職員と信頼できる関係の中で、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できるような授業づくりや集団づくりを行っていくことである。そのため、道徳教育、防災教育、自分づくり教育など、学校教育活動を通して、生徒のいじめを生まない人間関係や集団づくりを指導し、推進する。

 併せて、生徒の自己有用感や自己肯定感、集団の一員としての自覚や自信を育むことにより、互いを認め合える人間関係・学校風土をつくることが重要であり、教育活動において特に留意する必要がある。

 このほか、生徒に対するアンケート・聴き取り調査によって初めていじめの事実が把握される例も多く、いじめの被害者を助けるためには生徒の協力が必要となる場合がある。このため、本校は生徒に対して、傍観者とならず、学校いじめ対策委員会への報告をはじめとするいじめを止めさせるための行動をとる重要性を理解させるよう努めていく。

 また、教職員全員は共通理解の下、いじめを見逃したり助長したりすることのないよう、その指導の在り方に注意を払うなど、いじめ問題への対応力の向上を図りながら、生徒が元気で明るく学校生活を送ることができる学校づくりを推進していくことが必要である。加えて、特に配慮が必要な生徒については、当該生徒の保護者との連携の下、当該生徒の特性を十分理解した上で日常的に適切な支援を組織的に行うことが、いじめの防止等のための対策を講じる上でも欠かすことのできない大切な取り組みである。そのためには、いじめ問題への対応力や、特に配慮が必要な生徒への正しい理解と専門性の向上に向け、教職員自身の更なる資質能力と、学校組織全体の対応力の底上げを図っていく。

 なお、学校の教職員は、学校教育法第11条により「体罰」は禁止されている。子供たちに対する大人の行為が、生徒に問題解決のためには暴力や暴言も許されるという間違ったメッセージを伝え、いじめを誘発する恐れもあることから、条例第12条第5項により、体罰を加え、及び不適切な指導(生徒の人間性若しくは人格の尊厳を損ね、又は否定する言動の伴う指導をいう。)を行ってはならないことに特に留意しなければならない。(体罰・不適切な指導の防止に関する詳細は、市教育委員会作成の「体罰・不適切な指導防止ハンドブック」を参照する。)

(具体的な取り組み)※ 「*」は仙台市いじめ問題再調査委からの再発防止に向けた提言の関連項目

  • 自己有用感や自己肯定感、充実感等を感じられる学校生活づくりに向けた具体的な取り組み
  • 「児童生徒が安心して学校生活を送るためのいじめ対策ハンドブック」(令和3年3月作成)の活用(*)
  • 生徒の主体的な取り組みへの支援(*)
  • 必要に応じ、実際に発生したいじめ事案をクラス等で取り上げ、同様の事案の再発防止を図る(*)
  • 学校教育活動を通したいじめを生まない人間関係や集団づくりを推進するための年間指導計画の策定と計画的・継続的な実施
  • 人権教育資料「みとめあう心」などの活用を通じた道徳教育の更なる推進を通じた、多様な価値観の尊重に向けた教育活動の実施(*)
  • 教職員の資質向上に向けた校内研修の充実 ・いじめに対する実践的なスキルの向上や対応力の底上げに向けた研修(*)
    • 特に配慮を要する生徒への正しい理解の促進と専門性の向上等に向けた研修(*)  
    • 生徒の心理状況の理解と寄り添った対応に向けたスクールカウンセラーによる研修(*)  
    • いじめ対応に係る弁護士による研修(*)  
    • 市教委主催のいじめに関する研修を受講した教職員による学校での伝達研修(*)
  • 発達障害がある生徒への適切な支援に向けたケーススタディの実施(*)
  • 「特別支援教育コーディネーター」を中心とした校内での情報共有や支援、学校間の引継ぎ、医療機関や支援機関との円滑な連携の推進(*)
  • 体罰や不適切指導の禁止に係る周知徹底や校内研修の実施
  • 学校の実情に応じた授業の中で遅れが見られる生徒への学習支援(*)
  • 生徒が抱える問題等には、個別の状況に応じて生徒の心情等に配慮した対応を徹底する(*)
  • 法や条例により生徒はいじめを行ってはならないと定められていることの生徒への周知
  • インターネット上のいじめが重大な人権侵害に当たることを生徒に理解させる取り組み
  • 「学校いじめ対策委員会」や「いじめ対策担当教諭」の役割の確認、必要な見直し、教職員への周知徹底(*)
  • 学校いじめ対策委員会の取り組みに関する生徒及び保護者への周知
  • 保護者向けの啓発活動(いじめ防止への協力、法や条例に定める保護者の責務、虐待禁止等)
  • 生徒の地域活動等への参加促進 等
(2)いじめの早期発見

 条例では、市立学校におけるいじめの早期発見について、次のとおり定めている。

第19条 市立学校は、当該市立学校におけるいじめを早期に発見し、適切かつ迅速に対処するため、当該市立学校に在籍する児童生徒に対するいじめに関する定期的な調査その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 市立学校は、当該市立学校に在籍する児童生徒及びその保護者並びに当該市立学校の教職員がいじめに係る相談を行うことができる体制を整備するものとする。  

 いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って行われたりするなど、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることが多いことを教職員は認識し、ささいな兆候であっても、トラブルと安易に判断せず、いじめではないかとの視点を持って、早い段階から的確に関わりを持ち、いじめを隠したり軽視したりすることなく、積極的に認知することが必要である。

 このため、日頃から生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、生徒が示す変化やSOSを見逃さないようアンテナの感度を高く保つ必要がある。併せて、本校においては、市教育委員会による一斉「いじめ実態把握調査」の他、学校独自のアンケート調査や教育相談の実施等により、生徒がいじめの相談がしやすい体制を整え、いじめの実態把握に取り組むものとする。

 アンケート調査や個人面談において、生徒が自らSOSを発信すること、及びいじめの情報を教職員に報告することは、当該生徒にとって多大な勇気を要するものであることを教職員は理解しなければならない。これを踏まえ、本校は、生徒からの相談に対しては、教職員等が迅速に対応することを徹底する。

(具体的な取り組み) ※ 「*」は仙台市いじめ問題再調査委からの再発防止に向けた提言の関連項目

  • いじめに関する具体的な相談体制 ○いじめに関する相談体制の生徒、保護者への具体的な周知方法(周知する内容、時期等)について
  • 各学級の担任が生徒一人ひとりとの信頼関係を構築し、早期に相談できる環境づくりに向けた取り組みや考え方(*)
  • いじめの疑いのある情報を教職員が把握した場合の情報共有の手順、情報共有すべき内容(いつ、どこで、誰が、何を、どのように等)、情報共有後の組織的な対処に向けた取り組みや考え方
  • いじめの発見に向けたチェック項目の整理(学校独自で作成する、既成のチェックリストの全校での活用等) ○学校独自のいじめに関するアンケート調査の実施
  • いじめを含む学校生活上の不安や課題などを把握するための生徒及び保護者との面談の実施(教育相談週間の設定)
  • アンケート調査や面談後の結果の検証方法、組織的な対処に向けた取り組みや考え方
  • 学校・保護者・地域の三者によるいじめの実態や防止対策等に関する意見交換の実施
  • 教員が生徒としっかりと向き合う体制づくりの推進(*) 等  
(3)いじめへの適切かつ迅速な対処  

 条例では、いじめが疑われる場合の学校への情報提供や、市立学校におけるいじめへの適切かつ迅速な対処について、次のとおり定めている。

(いじめに対する措置)
第20条 児童生徒若しくはその保護者からいじめに係る相談を受けた者又はいじめを行い、若しくは受けていると思われる児童生徒を把握した者は、速やかに、当該児童生徒が在籍する学校に直接又は教育委員会を経由して情報を提供するよう努めるものとする。
2 市立学校は、前項の規定による情報の提供があったときその他当該市立学校に在籍する児童生徒がいじめを行い、又は受けていると思われるときは、速やかに、当該児童生徒に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を教育委員会に報告するものとする。
3 市立学校は、当該市立学校においていじめがあったことが確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該市立学校の複数の教職員によって、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童生徒又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童生徒に対する指導又はその保護者に対する助言を組織的かつ継続的に行うものとする。
4 市立学校は、第2項の措置又は前項の支援、指導若しくは助言に当たっては、当該いじめの事案に関係する児童生徒及びその保護者との共通の理解の下に行われるよう配慮するものとする。
5 教育委員会は、第2項の規定による報告を受けたときは、必要に応じ、当該市立学校に対し必要な支援を行い、若しくは必要な措置を講ずることを指示し、又は当該報告に係る事案について自ら必要な調査を行うものとする。 
(いじめを行った児童生徒に対する指導等)
第21条 市立学校は、前条第3項の規定による指導を行うに当たっては、当該児童生徒がいじめを行った要因を把握するよう努めるものとする。
2 市立学校は、前項の要因を把握したときは、必要に応じて関係機関と連携し、当該児童生徒に対する支援その他いじめの再発を防止するための措置を講ずるものとする。     

 よって、学校の教職員はいじめを発見し、又は相談を受けた場合には、速やかに、学校いじめ対策委員会に対し当該いじめに係る情報を報告するとともに、当該委員会を速やかに招集し、いじめの事実の有無の確認やその後の対応に係る方針等を定めるなど、組織的な対応につなげなければならない。学校の特定の教職員が、いじめに係る情報を抱え込み、学校いじめ対策委員会に報告を行わないことは、法の規定に違反し得る。また、各教職員は、学校の定めた方針等に沿って、いじめに係る情報を適切に記録しておく必要がある。

 併せて、いじめの有無の確認を行うための措置や、いじめを受けた生徒又はその保護者への支援、いじめを行った生徒への指導又はその保護者への助言に当たっては、説明や報告の都度、意向を確認しながら対応を進めるなど、当該いじめ事案に関係する生徒及びその保護者との共通の理解の下に行われるよう配慮するものとする。

 本校は法及び条例に基づき、市教育委員会に報告するとともに、事案の内容によっては、児童相談所や警察等の関係機関とも連携の上対処していく。

 なお、本校が他の市立学校の生徒に係るいじめ(疑いを含む。)を認知した場合には、当該他の市立学校と連携して対処に当たるものとする。

(ア)被害生徒への対応及び支援

 被害生徒への対応に当たっては、被害生徒を守り通すという姿勢の下、保護者と連携の上、以下のような対応及び支援を講じていくことが必要である。

  • 被害生徒の心的な状況等を十分確認し、被害生徒や情報を提供した生徒を守り通すことや秘密を守ることを伝え、できる限り不安を除去した上で、いじめの事実関係を複数の教職員で正確に聴き取る。
  • 被害生徒にとって信頼できる人物(親しい友人や教職員、家族、地域の人等)と連携しながら、被害生徒に寄り添える体制を構築し、状況に応じて、心理や福祉等の専門家、教員経験者・警察官経験者など外部専門家の協力を得ながら支援する。
  • 被害生徒が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、必要に応じて加害生徒を別室において指導したり、状況に応じて出席停止制度を活用したりして、被害生徒が落ち着いて学習できる環境を整備する。
  • 被害生徒が、加害生徒との関係改善を望み、加害生徒の内省の深まりが確認できた場合には、被害生徒本人やその保護者の同意を得、加害生徒本人やその保護者がその趣旨や意義を十分理解したことを確認した上で、謝罪・和解の場を設けるなどして関係修復を図る。なお、関係修復を急ぐあまり、謝罪・和解の場を設けることを優先することのないように留意する。
  • 加害生徒への指導や、加害生徒から被害生徒への謝罪が終わった後も、引き続き再発防止に向けた組織的な取り組みが必要である。従って、その後の見守り体制や再発防止策について、学校いじめ対策委員会で具体的に検討し、実践する。また、折りに触れ保護者等に見守りの状況等を伝えるとともに、必要な支援を行う。
(イ)加害生徒に対する措置

 加害生徒に対しては、人格の成長を旨として、家庭環境や当該生徒の特性などに教育的な配慮を行いながら、以下のような措置を講じていくことが必要である。

  • いじめを行ったとされる生徒から、複数の教職員で事実関係を聴き取り、いじめがあったことが確認された場合、いじめを受けた生徒の意向を確認したうえで、しっかりといじめを受けた生徒に謝罪を行うよう指導する。また、学校は、教職員が連携し、必要に応じて心理や福祉等の専門家、教員・警察官経験者など外部専門家の協力を得て、組織的に、いじめを止めさせ、再発防止の措置を講ずる。
  • 迅速に関係保護者に連絡し、事実に対する保護者の理解や納得を得た上で、学校と保護者が連携して以後の対応を適切に行えるよう保護者の協力を求めるとともに、保護者に対して継続的な助言を行う。
  • 加害生徒が、いじめは人格を傷つけ、生命、身体又は財産を脅かす行為であることを十分理解し、自らの行為の責任を自覚するよう指導する。
  • 生徒の個人情報の取扱い等、プライバシーには十分に留意しながら、以後のいじめの状況に応じて、心理的な孤立感・疎外感を与えないよう一定の教育的配慮の下、特別の指導計画による指導のほか、さらに警察との連携による措置も含め、対応する。
  • 加害生徒への対応に当たっては、当該生徒が当該いじめを行うに至った要因を把握するよう努めるとともに、加害生徒自身がいじめや虐待を受けているといった要因を把握したときは、必要に応じて関係機関と連携し、当該生徒に対する支援その他いじめの再発を防止するために必要な対応を行うものとする。
  • 教育上必要があると認めるときは、学校教育法第11条の規定に基づき、生徒に対して、適切に懲戒(※)を加えることも考えられる。ただし、いじめには様々な要因があることに鑑み、懲戒を加える際には、教育的配慮に十分に留意し、いじめた児童生徒が自らの行為を理解し、健全な人間関係を育むことができるよう成長を促す目的で行う。
  • ※ 学校教育法施行規則に定める退学・停学・訓告以外で、懲戒として認められると考えられるものの例(「体罰の禁止及び生徒理解に基づく指導の徹底について(文部科学省平成25年3月13日付通知)より)
  • 「放課後等に教室に残留させる」「授業中、教室内に起立させる」「学習課題や清掃活動を課す」「学校当番を多く割り当てる」「立ち歩きの多い児童生徒を叱って席につかせる」「練習に遅刻した生徒を試合に出さずに見学させる」等
  • なお、学校の教職員は、学校教育法第11条により「体罰」は禁止されている。子供たちに対する大人の行為が、生徒に問題解決のためには暴力や暴言も許されるという間違ったメッセージを伝え、いじめを誘発する恐れもあることから、条例第12条第5項により、体罰を加え、及び不適切な指導(生徒の人間性若しくは人格の尊厳を損ね、又は否定する言動の伴う指導をいう。)を行ってはならないことが規定されている。懲罰が必要と認める状況においても、決して体罰や不適切な指導によることなく、生徒の規範意識や社会性の育成を図るよう、適切に懲戒を行い、粘り強く指導することが必要であることに特に留意する。

(具体的な取り組み)

  •  いじめが疑われる場合の学校としての措置の整理
  • いじめを受けた側と行った側の双方の生徒やその保護者との間で共通理解を図ることが困難な場合における早い段階での市教育委員会への相談
  • 関係機関による対処も必要と思われる場合の関係機関との連携した対処
  • いじめの問題に関する指導記録を作成・保存、生徒の進学・進級や転学に当たっての適切な引継ぎ
  • いじめの解消の定義を踏まえた規定(いじめを受けた・加害生徒の様子に係る具体的な見守りプランの策定と実行、いじめを受けた生徒への支援内容、教職員の役割分担を含む対処プランの策定等) 等
(ウ)いじめの解消について

 いじめは、単に謝罪をもって安易に解消とすることはできない。いじめが「解消している」状態とは、少なくとも次の二つの要件が満たされている必要がある。ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断するものとする。

1)いじめに係る行為が止んでいること

 被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネット及びSNS等を通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間とは、少なくとも3か月を目安とする。いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、学校の設置者又は学校いじめ対策委員会の判断により、より長期の期間を設定するものとする。本校の教職員は、相当の期間が経過するまでは、被害・加害生徒の様子を具体的な見守りのプランに基づき注視し、期間が経過した段階で判断を行う。行為が止んでいない場合は、改めて、相当の期間を設定して状況を注視する。

2)被害生徒が心身の苦痛を感じていないこと

 いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害生徒本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。

 学校は、いじめが解消に至っていない段階では、被害生徒を徹底的に守り通し、その安全・安心を確保しなければならない。学校いじめ対策委員会においては、いじめが解消に至るまで被害生徒の支援を継続するため、支援内容、情報共有、教職員の役割分担を含む対処プランを策定し、確実に実行する。

 上記のいじめが「解消している」状態とは、あくまで、一つの段階に過ぎず、「解消している」状態に至った場合でも、いじめが再発する可能性が十分にあり得ることを踏まえ、本校の教職員は、当該いじめの被害生徒及び加害生徒については、日常的に注意深く観察する必要がある。

(4)家庭や地域との連携
(ア)家庭との連携

 社会全体で生徒を見守り、健やかな成長を促すためには、学校関係者や地域、家庭との連携が必要である。保護者は生徒の教育について第一義的責任を負うものであり、その保護する生徒がいじめを受けた場合には、適切に当該生徒をいじめから保護する責務を有している。このようなことから、いじめを許さないなどの規範意識を養うための指導を適切に行い、いじめから生徒を守っていくためには、家庭との連携の強化が重要である。

(具体的な取り組み)

  • 学校が取り組むいじめ防止等に向けた対策の定期的な周知
  • 普段からの保護者との信頼関係の構築
  • いじめの理解等に関する説明会・研修会のPTAとの共催による実施 等
(イ)地域との連携

 生徒が日頃から、より多くの大人と関わることにより、いじめの未然防止や早期発見につながる場合もあることから、学校や地域の状況を踏まえながら、生徒に対して地域の取り組みなどへの参加を促すことも有効である。

(具体的な取り組み)

  • 学校いじめ基本方針やいじめ防止等の取り組みの学校だよりや学校ホームページ等を通じた広報・啓発  
  • いじめに向かわない子供の育成を目指した協働型学校評価の目標設定  
  • 学校支援地域本部事業などによる生徒と大人が関わる期間の企画・実施を通じた生徒の自己有用感の向上 等
(5)関係機関や他の学校との連携

 学校も含めた生徒の日常生活において、いじめをなくし健全育成を図っていくためには、生徒の関わる学校に関係する組織や団体等との幅広い連携・協力を進めていくことが不可欠である。

 また、いじめの事案解決に当たっては、学校による対応の範囲を超える場合もあり、状況に応じて、行政機関や専門機関との速やかな連携が図れるような関係づくりに取り組むことも重要である。

 このほか、生徒の入学、卒業、転出入に際しても、これまで在籍した学校(市立学校以外の学校を含む。)と、入学・転入先の学校間において、円滑な引継ぎが行われるよう特に留意する必要がある。

(具体的な取り組み)

  ※ 「*」は仙台市いじめ問題再調査委からの再発防止に向けた提言の関連項目

  • 管内の警察署、児童館、市民センター等との連携
  • 授業参観、出前授業、「いじめ防止「きずな」キャンペーン」での交流活動等を通じた常日頃からの学校間の連携(*)
  • 学校間の引継ぎの徹底、引継ぎの実効性の確保、引継ぎを受けた後の適切な対処(*) 等

重大事態への対処

1 重大事態の意味

 法第28条第1項において、次に掲げる場合を、いじめの重大事態としている。

① いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
② いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき

 「いじめにより」とは、各号に規定する生徒の状況に至る要因が当該生徒に対して行われるいじめにあることを意味する。本校は、当該重大事態に係るいじめを受けた生徒の生命、心身又は財産の保護を最も優先して対処するものとする。

 併せて、重大事態への対処及びその公表に当たっては、当該重大事態に係るいじめを受けた生徒及びその保護者の意向に配慮しなければならないことにも留意し、市対処方針等を踏まえ、市教育委員会と連携の上、丁寧に対応するものとする。

 第1号の「生命、心身又は財産に重大な被害」については、いじめを受ける生徒の状況に着目して判断する。例えば、次のようなケースが想定される。

  • 生徒が自死を企図した場合
  • 身体に重大な傷害を負った場合
  • 金品等に重大な被害を被った場合
  • 精神性の疾患を発症した場合 など

 第2号の「相当の期間」については、文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」における不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安とする。ただし、生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、上記目安にかかわらず、市教育委員会又は市立学校の判断により、迅速に調査に着手することが必要である。

 また、生徒や保護者から、いじめにより重大な被害が生じたという申立てがあったときは、その時点で学校が「いじめの結果ではない」あるいは「重大事態とはいえない」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。生徒又は保護者からの申立ては、学校が把握していない極めて重要な情報である可能性があることから、調査をしないまま、いじめ重大事態ではないと断言できないことに留意する。

2 重大事態の発生と調査

 重大事態が発生した場合(疑いを含む。以下同じ。)には、条例第27条に基づき別に定める「仙台市立仙台商業高等学校いじめ重大事態対処方針」に基づき、直ちに、市教育委員会に報告する。

 重大事態の調査は、法第28条によれば、学校の設置者が主体となって行う場合と学校が主体となって行う場合が考えられ、国基本方針において、「学校の設置者は、その事案の調査を行う主体や、どのような調査組織とするかについて判断する」と示されていることを踏まえ、仙台市においては、対象事案に応じた調査組織の区分を市基本方針で定めている。

 従って、市教育委員会の判断により、本校が主体となって調査を行う場合は、「学校いじめ対策委員会」を母体として、学校評議員、PTA役員、学校医などの学校以外の委員を加えるなど、公平性・中立性の確保に努めた構成により、校長が調査組織である「学校いじめ調査委員会」を設置し、市基本方針等を踏まえ、適切に調査を行うものとする。また、市教育委員会が主体となって調査を行う場合には、その調査に協力するものとする。

3 調査結果の提供及び報告

 本校は、「学校いじめ調査委員会」の調査結果を受けて、調査により明らかになった事実関係(いじめがいつ、誰から行われ、どのような態様であったか、学校がどのように対応したか)や再発防止策について、いじめを受けた生徒やその保護者に対して、適時・適切な方法で説明を行う。

 なお、これらの情報の提供にあたっては、他の生徒のプライバシー保護に配慮するなど、関係者の個人情報に十分配慮し、適切に提供するものとする。ただし、確たる根拠なく個人情報保護を理由に説明を怠るようなことがあってはならない。

 質問紙調査の実施により得られたアンケートについては 、いじめを受けた生徒又はその保護者に提供することをあらかじめ念頭におき、調査に先立ち、その旨を調査対象となる在校生や保護者に説明する等の措置が必要であることに留意する。

 また、本校が調査を行う場合においては 、市教育委員会に 、情報の提供の内容・方法・時期などについて必要な指導や助言を得る。調査結果については、市教育委員会に報告する。

その他の重要事項

1 学校いじめ防止基本方針の周知

 策定又は変更した学校いじめ防止基本方針については、条例第11条第3項に基づき、本校に所属する全ての教職員に周知するとともに、本校に在籍する生徒、その保護者、地域住民その他の関係者に周知を図るものとする。

 周知に当たっては、本校のホームページへの掲載その他の方法により、保護者や地域住民が学校いじめ防止基本方針の内容を容易に確認できるような措置を講ずるとともに、生徒やその保護者に対しては、策定又は変更時のほか、入学時や年度初め等の機会を捉えて、定期的に周知するものとする。

2 不断の見直し

 学校いじめ防止基本方針は、いじめの防止や早期発見、事案対処などいじめの防止等全体に係る内容について、年間の推進計画も盛り込みながら策定するものであり、より実効性の高い取り組みの実施に向け、当該学校の実情に即して適切に機能しているかを学校いじめ防止等対策委員会を中心に点検し、必要な見直しが随時図られるようなPDCAサイクルを機能させながら、不断の見直しを行うものとする。

1 この学校基本方針は平成26年4月1日から運用する。
2 平成30年4月1日 一部改訂
3 令和元年8月21日 一部改訂
4 令和5年10月1日 一部改訂