伊達政宗による造営で,現存最古の権現造(ごんげんづくり)。豪華で流麗な桃山様式。
おおさきはちまんぐう
大崎八幡宮
Osakihachimangu
解説
Description
大崎八幡宮は,本殿・石の間・拝殿からなり,棟札(むなふだ)1枚が附(つけたり)指定されている。慶長12年(1607)に伊達政宗により造営された。本殿と拝殿を石の間でつないだ権現造(ごんげんづくり)で,石の間が本殿や拝殿に比べて床が低く,本来離れていた二つの建物を土間でつなぐことから生まれたこの様式の典型として最古のものである。本殿は,桁行(けたゆき)五間,梁間(はりま)三間,入母屋造(いりもやづくり),こけら葺,石の間は,桁行五間,梁間一間,両下造(りょうさげづくり),こけら葺,拝殿は,桁行七間,梁間三間,入母屋造,こけら葺で正面に千鳥破風(ちどりはふ)をつけ,その前面に軒唐破風(のきからはふ)をもつ梁間五間の向拝(こうはい)をつける。総漆塗,極彩色(ごくさいしょく),飾金具など豪華で流麗な意匠の桃山建築である。特に社殿の彫刻は繊細優美で,飛天(ひてん),虎,猫,牡丹,蝶,象,亀甲,唐草など様々な題材や文様を組み合わせて表現され,胡粉(ごふん)下地に自由な配色で彩色されている。また石の間の格天井(ごうてんじょう)には,華麗な筆致で多種の薬草が描かれている。附指定されている「慶長拾二年丁未八月十二日造立」の棟札により,大工城州日向守(ひゅうがのかみ)家次,棟梁梅村三十郎頼次,刑部左衛門国次など当代一流の名匠が招かれ建築されたことが分かる。なお,柱の沈下や傾斜,軒を支える組物の破損等を修復するため,平成12年(2000)から5ヶ年で解体修理が行われた。