江戸時代中期の密教像を代表する作
もくぞうだいげんすいみょうおうりゅうぞう ずしいり
木造大元帥明王立像 厨子入
Mokuzo Daigensuimyo-o Ryuzo Zushiiri
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解説
Description
木造大元帥明王立像は,大崎八幡宮境内の大元堂に安置されている。寄木造,玉眼(ぎょくがん),彩色である。五面八臂(ごめんはっぴ)で表され,二邪鬼を踏む。これは,太元帥法を伝えた常暁とゆかりのある奈良県の秋篠寺に伝わる画像によって作られた,比較的正統な像容であるといえる。なお,本来は黒青色で表される大元帥の肉身が,本像では赤色で表されており,また,持物の多くは失われている。厨子(ずし)扉内側の墨書銘から,仙台藩五代藩主伊達吉村の命により享保4年(1719)に江戸の真福寺で開眼供養されたことが分かり,当時江戸で名の知れた仏師の作と推測することができる。江戸中期の密教像を代表する作と言える。大元帥明王は,外敵降伏や兵乱・賊難の鎮圧のために修する太元帥法(たいげんすいほう)の本尊として祀られる明王である。仙台城下西北方鎮護のために勧請(かんじょう)された大崎八幡宮の境内に,大元堂を建立し,本像を祀った吉村の意図がうかがわれる。寄木造 像高65cm (大崎八幡宮所蔵)