繊細な截金(きりかね)を施された江戸時代中期の仏像。愛宕尊像と六地蔵を共にまつる貴重な例。
もくぞうあたごそんきばぞう・ろくじぞうぼさつりゅうぞう
木造愛宕尊騎馬像・六地蔵菩薩立像
Mokuzo Atagoson Kibazo ・ Rokujizobosatsu Ryuzo
▼ In English
解説
Description
木造愛宕尊騎馬像・六地蔵菩薩立像は,元来地蔵堂に安置されていたが,現在は本堂内に扁額(へんがく)「地蔵堂」とともに,主尊・愛宕尊騎馬像を中心に安置されている。いずれも玉眼(ぎょくがん)を入れて金泥(きんでい)を施し,それぞれの衣服には,繊細な技法である截金(きりかね)が施されている。六地蔵とは,地獄道・飢餓道・畜生道・修羅道・人間道・天上道の六道それぞれに地蔵菩薩をあてたもので,これらは右手の持物により見分けることができるが,正円寺の六地蔵については,手首先が欠けたり持物がなくなったりしており,分かりかねるものが多い。制作年代については,愛宕尊騎馬像の胎内墨書銘札より,大仏師伊織の作であり,享保元年(1716)六世蓮社良生阿上人の時,開眼供養されたことが分かる。また,火伏せの神といわれる愛宕尊像が六地蔵と共に祀られているのは,類例がなく貴重である。愛宕尊騎馬像 寄木造 像高125.0cm , 六地蔵菩薩立像 寄木造 像高79.5~81.2cm (正圓寺所蔵)