仙台藩奉行中村景貞を描く,希少な肖像絵馬
なかむらかげさだじょうばず
中村景貞乗馬図
Nakamura Kagesada Jobazu
▼ In English
解説
Description
この絵馬は,桜の花咲く下を栗毛の馬に乗り駈けて行く袴姿の武士を描いている。桐板に金箔を押して彩色し,面長の武士が個性豊かに描写されている。文化5年(1808)に奉納され,「紋浪栗毛」(あやなみくりげ)の墨書がある。これは仙台藩奉行(家老)中村景貞の愛馬とされているところから,馬上の武士は中村景貞と推定され,数少ない肖像絵馬として注目される。景貞は仙台藩七代藩主伊達重村の代に28歳で奉行となり,重村以下,五代26年にわたり奉行職を務めた。幾多の難局を打開した功臣として知られ,天保4年(1833)1月,79歳で亡くなっている。作者華陽については不詳。板絵金地著色・板横に四枚矧(はぎ)。墨書銘「紋浪栗毛」。(光西寺所蔵)