藩内の城・要害・在郷屋敷の様子を示す貴重な歴史資料
しろ・ようがい・ざいごうやしきえず
城・要害・在郷屋敷絵図
Shiro ・ Yogai ・ Zaigo Yashiki Ezu
解説
Description
本資料は,「白石城・白石城下絵図」「要害屋敷絵図」「在郷屋敷絵図」に大別される。
「白石城・白石城下絵図」は4種7舗からなる。一国一城制の下,例外的に認められた白石城については,仙台城を描く時と呼応して城絵図が作成されている。
「要害屋敷絵図」は4種61舗,附1通からなる。大部分の絵図は吟味書,覚書,書上付である。仙台藩独特の家臣統制の一環である,要害・所・在所拝領の制度が確立した貞享・天和期に合わせて作成された絵図である。要害の大部分は,中世以来の城跡であり,名称は「城」 を称しなくとも本丸・二ノ九・堀などを備えた城そのものである。また,要害以外の在郷屋敷のなかにも土塁や堀をめぐらしたものが多い。これらの絵図には,本図の下絵と思われるもの,居所を中心として描いたもの,城同様,修復には幕府の許可を必要としたことから,その申請のために描かれたものなど様々なものがある。
「在郷屋敷絵図」は14種32舗からなる。要害・所・在所拝領とならなかった知行地内の屋敷も,藩が公的に在郷屋敷と認めたものと,単に居宅として存在したものとがある。これらはいわば地域の中心となったところであり,仙台藩の支配を考える上で重要な役割を担っている。寛政9年(1797)の仙台藩最大の一揆に際し,この地方知行制による家臣の配置が大きな役割を果たしたことはよく知られているところである。また,在郷屋敷図には,関連した記録を記す吟味書,覚書,書上が付属しており,成立過程,屋敷の位置づけなどがわかる。(宮城県図書館所蔵)