東照宮に奉納された大型の脇差
わきざし
脇差
Wakizashi
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解説
Description
身幅広く,厚造りの豪壮な脇差。刀身に刃を付けておらず,当初から実用を目的としていないことがわかる。江戸で活躍した富田大和守安定と弟子安幸・安家の合作刀で,明暦元年(1655)に仙台東照宮に奉納するとの銘がある。また銘文には試刀家の山野加右衛門尉が意匠を定めたことも記される。本品には梨地に金蒔絵で葵紋を表した金梨地葵紋拵が付属する。
明暦元年は東照宮が勧請された翌年で,4月17日は徳川家康の命日にあたる。寄進者については,仙台藩2代藩主伊達忠宗であった可能性がある。本品は江戸時代前期の大型の奉納刀であり,年紀・作者が判明する貴重な作例である。
同じく安定一門の作で,同年伊達政宗の命日奉納銘を持つ脇差(瑞巌寺所蔵。下記備考参照)に作風が酷似している。
長さ(刃長)56.6cm 反1.7cm 平造,板目,刃文は互の目乱れ